ミシュラン パワーカップ2

S1000RRのタイヤはナラシが終わった時点で新車装着時のタイヤからミシュラン・パワーカップ2に交換。以後2セット使用したので(現在3セット目)、サーキットを走行したインプレッションを記します。

 

 

どんなタイヤ?
普段はサーキットしか走らないけれど10回に1回くらいはツーリングに行きたい。サーキットにおける性能は妥協せず求める一方、たまに走る公道も不安なく楽しみたい。そんな人向けのタイヤ。こういう風に書くとなかなかニッチな層がターゲットですね…。

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カテゴリー的には

  • ピレリ スーパーコルサ SC1/SC2
  • メッツラー レーステックRR K1/K2

と同等の立ち位置だと思います。
少しややこしいのですが、スーパーコルサSPやレーステックRR K3は公道向けのハイグリップタイヤであり、サーキット向けのパワーカップ2はそれら(SP・K3)より上位のカテゴリーに属すると理解しています。

 


サーキットにおける空気圧
ミシュランの公式サイトにサーキット走行時の推奨空気圧が以下の通り記載されています。

  • 温間 フロント2.4 リア1.7
  • 冷間 フロント2.1 リア1.5

 

【温間の場合】
僕の場合、タイヤウォーマーを使用して上記の温間推奨値を基本とし、コンディション(気温・路面温度)や走行した感触を勘案して微調整しています。フロント2.4は高いと感覚的に思う人がいるかもしれませんが、このタイヤに関しては問題ありません。リアは試しに温間で1.6まで下げてみたところ、あまり良い結果は得られませんでした。温間で調整するならフロント・リアともに推奨値より大きく下げ過ぎない方が良いように思います。

 

【冷間の場合】
冷間で上記の推奨値(F2.1、R1.5)を試したところ、走行直後の空気圧はフロント2.6、リア1.9前後まで上昇し、特にリアは表面が少し荒れたような表情になりました。走行時の状況や走るペースによるので一概には言えませんが、冷間で合わせる場合は上記の推奨値より少し低めに設定しても良いかもしれません。ただし下げ過ぎないことが肝心です。

 

 

ハンドリング・グリップ
ハンドリングは癖がなくニュートラルです。もう少し曲がって欲しいと思わないでもないですが、これはS1000RRの足回りのセッティングが出ていないためで好みのセットが見つかればグイグイ曲がるポテンシャルはあると見ています。
グリップについて、フロントは全く不安がありません。リアはS1000RRの凶暴なパワーを受けると挙動が出ることもありますが、これはやむを得ないでしょう。
バンク角に関しては、メーター表示で最大58°まで寝かせて特に問題は出ていません。前後ともにグリップレベルはSC1/SC2やK1/K2と比べて遜色ないと感じます。

 

 

ライフ
サーキットにおけるライフはSC1/SC2やK1/K2と同程度という印象です。
非常にざっくりとした書き方をすると、僕の場合タイムを出しに行けるのは走行時間が2時間まで。2時間を超すとベスト更新は狙えないものの問題なく走れるレベル。3時間を過ぎるとリアのグリップが低下してきて気持ち良く走れなくなりました。ハイパワーなリッターマシンゆえリアの摩耗が早く、フロントはリアの2倍くらい長持ちすると思います(走り方にもよりますが)。

 

なお、公道でのライフや摩耗特性は大変優秀であると聞きました。以下はいつもお世話になっているレイラスポーツの記事です。

 

 

温度依存性
パワーカップ2はサーキット向けのタイヤでありながら公道走行も考慮してタイヤウォーマーが必須ではありません。公道走行可能と謳いながらウォーマー使用を前提とし、タイヤが冷えた状態では足元をすくわれるように滑って「冷えコル」などと揶揄されるスーパーコルサSCとは、ここが大きく異なる点です。
スーパーコルサSCやレーステックRRはウォーマーを使用していても路面温度が低い時にアブレーションが出ることは珍しくありません。また僕の経験では路面温度が高くてもフロントが荒れることがありました(特にSC1とK1)。

 

真夏のSC1
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真夏のK1
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これに対してパワーカップ2は真夏の昼下がり、最も路面温度が上がる状況で走った際にグリップの低下は見られたものの、前後ともアブレーションは現れずタイヤの表面は綺麗でした。路面温度が低い時の走行はまだ経験していませんが、現時点の印象として温度管理で気難しい側面を持つスーパーコルサSCに比べ、パワーカップ2は扱いやすいタイヤであると感じます。

 

 

タイム
S1000RRにパワーカップ2を履かせて九州の主要サーキットを走った際のベストタイムです。

  • オートポリス 2分3秒6
  • HSR九州 1分9秒2
  • SPA直入 47秒9

上記のタイムでもタイヤの能力的なキャパシティにはまだ余裕があると感じています。速い人ならオートポリスで2分切りも可能でしょう。それは溝付きタイヤとしては十分なタイムであるように思います。

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まとめ
パワーカップ2は従来のサーキット向けタイヤ、プロダクションタイヤと比べて扱いやすく変な癖もありません。それでいてグリップ性能や許容バンク角は僕のような素人がどんなに全力でライディングしても(間違った操作をしない限り)限界を超えることはなさそうです。
スーパーコルサも良いタイヤだとは思いますが、難しい面もあり万能ではありません。評判が良いから履いてみたけど、なんとなく自分には合わないと感じる人もいるはずです(実は僕もその一人)。そういう人は一度このタイヤを試してみてはいかがでしょう。ポンとタイムが出てしまうかもしれませんよ。