向き変えの具体例

「向き変え」は今の自分にとって最重要テーマなので、画像を使って具体例を示しながら考えていきたいと思います。
場所はオートポリス、最終手前の右コーナーです。

 

 

画像①

走行動画から、このコーナーで最も速度が落ちた時点を切り取りました。画面右下に表示されているのはGPS計測による速度で、このラップでは104km/h。

 

画像②

画像①の続きでコーナーのクリッピングポイントに到達したところです。イン側に見えるゼブラの切れ目付近がクリッピングポイントです。この時、右下の速度は106km/h。画面中央下、メーターに表示されるバンク角は49°です。まだバンク角が深く加速の態勢に入っていません。

 

画像③

さて、画像③は上記①②と別のラップです。場所は同じコーナーで①と同様に最も速度が落ちた時点。この時のボトムスピードは96km/hで、①の時より8km/h低くなっています。

 

画像④

③の続きでクリップに到達したところです。画像②と全く同じ場所ですが、見比べるとラインが②よりイン側を通っています。さらにメーターのバンク角を見ると43°で、既にマシンを起こし始めて加速の態勢に移行していることを示しています。この時の速度は115km/h。②と比べると9km/h高くなっています。
一見すると②と④は同じような画像に思えますが、この瞬間におけるマシンの状態及びライダーが行なっている操作は全く異なっています。端的に言えば②はまだ向きが変わっておらず、④は既に向き変えを終えている状態です。

 

 

区間タイム
画像①②と画像③④でこのコーナーの区間タイムを見ると、①②はボトムスピードが高いぶんコーナー中盤で速い瞬間がありますが、③④はボトムで向きが変わるため中盤以降マシンを起こしながらグイグイと加速していき、クリッピングポイント到達時点で①②と③④はほぼ同タイム、そしてクリップ以降の立ち上がりは③④が明らかに速いという結果でした。

二つのラップは全く同じコンディション(同日の同じ走行枠)であり、両者の違いはただ一つ、「コーナーで向きが変わるまでアクセルを開けずに待てるかどうか」それだけです。

 

 

速度グラフ
両者の違いをグラフで見てみましょう。

ちょっと判りづらいですが水色の線が速度グラフ。薄い水色が①②、濃い水色が③④のラップです。
①②はボトムスピードが高く向きが変わらないため、いつまでもダラダラと加速できず逆台形の速度グラフとなっています。一方で③④は一旦速度を落とし切ってボトムからすぐに加速に移行しています。その結果コーナーの出口では両者に埋めがたい速度差が生じているのです。
同じバイクなのに上手い人が乗ると立ち上がりで(まるでエンジンパワーが違うかのように)グングン加速して差がつく、という現象を誰しも経験したことがあると思います。上のグラフはその理由を示しています。(本当に速い人のグラフはもっと顕著に特徴が現れるはず)
繰り返しになりますが、この違いを生み出しているのはただ一つ、コーナーで待てるかどうかだけです。難しいテクニックなどどこにもありません。

 

僕の場合、コーナーに進入したらすぐにアクセルをわずかに開け直す癖が昔からあります。少しでも速度をロスしたくないという心理から来ていると思いますが、それが上記の逆台形グラフを作る原因となっています。
今回は最終手前の右コーナーを例に挙げましたが、特定のコーナーに限らずほとんどのコーナー(オートポリスに限らず)で当てはまる内容ですから、この点を改善することが今の最優先課題です。

 

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