2021年全日本ロードレース選手権第7戦 オートポリス観戦【前編】

昨年に引き続き、今年もオートポリスにて全日本選手権を観戦してきました。
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通常、観戦チケットは前売り二日通し券で3,800円なのですが、今回はオートポリスのライセンス会員に限り何と無料! 二輪の当日駐車券500円だけ払って入場です。これは太っ腹というレベルを超えて採算度外視じゃないの…と思うのですが、ともかく普段からAPに出入りしている者としては嬉しい限りです。

 

なお、決勝レースの模様はMFJ公式チャンネルにてノーカット配信しています。MotoGPの洗練された映像には遠く及びませんが、それなりに見れる内容だと思います。実況はちょっとアレですけど。


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100Rのラインを勉強する
自分自身の課題である1ヘア~2ヘアの区間。全日本ライダーが実際にどのようなラインを通るのか観察しました。
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1ヘア直後の右100Rはヘアピンの立ち上がりでしっかりと加速したいセクションではありますが、アクセルを開けることばかり考えるとアウトに膨らんでしまって次の左100Rの切り返しが苦しくなります。
今回のレースを見ていると、600・1000を問わず右100Rは必ずクリップをしっかり取ってマシンをインに寄せていました。
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イン側縁石の後半部分がクリッピングポイント(CP)。ここは絶対外さない。

 

続く左100Rの進入はライダーによって若干ラインが異なる印象で、アウトから入るマシンとややミドルから進入するマシンが入り混じっていました。ただしどのライダーもコース幅の半分より左側からアプローチすることはありませんでした。この点は肝に銘じて自分の走りに生かしたいと思います。

そして左100Rは高い車速を保ったまま進入、一旦アウトに膨らんだ後にジワジワとインに寄せていきイン側縁石の後半にクリップを取ります。クリップに着く少し手前からアクセルをワイドオープンしていました。
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左100Rの立ち上がりはマシンの挙動が大きく現れるポイントで、フロントを浮かせつつブラックマークを残していくマシン、リアをスライドさせながら立ち上がるマシンなど大変見応えがありました。
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次の250Rは加速しながら切り返し、下図あたりでインに寄せている感じでした。
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250Rは開け開けで上り勾配を駆け抜けるセクションで、ここではポンポンと2段続けてシフトアップするライダーが多かったです(特にST1000)。純粋な直線ではなく緩やかに曲がりながらアクセルを開けていくため、通常より早めにシフトアップしてリアの過剰なスライド・転倒のリスクを抑えているのかもしれません。

 

最終コーナーのラインを勉強する
最終コーナーはホームストレートの速度に直結する区間です。ここは直前の右コーナーのラインが重要で、全てのライダーが必ず通過するポイントがあります。それがこちら。
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2ヘアからのショートカットが繋がるポイント、イン側縁石の切れ目です。最終コーナーをできるだけ直線的に処理するためには、絶対にこのCPを通過しなければなりません。少しでもインを外してしまうと最終コーナーがきつくなり、立ち上がりで遅れを取ります。

 

アクセルワークに関しては、手前の右コーナーCP付近で一度アクセルを大きく開けるものの、さすがにアクセル全開のまま最終コーナーを通過することはできないようで、最終コーナーへの切り返しで少しアクセルを戻している様子でした。
最終立ち上がりは大変スリリングで、リアを暴れさせるマシンが多数(素人の僕が走ってもリアが暴れるくらいなので)。ST1000決勝、ファイナルラップの最終コーナーは岡本選手を僅差で追う作本選手が立ち上がりでリアを大きくスライドさせてしまい勝負あり! その様子を間近で目撃して大興奮でした。

 

 

ST600の件
ところでST600の決勝レースでは物議を醸すアクシデントがありました。

このシーンについては様々な意見があると思いますが、このツイッターの動画だけではなく、そこに至るまでの流れを踏まえたうえで判断するほうが観る側としてはフェアであると感じます。
冒頭のMFJチャンネルの動画で2:14:20頃から見ると、直前のラップの後半部分から通しで見ることができます。直前の最終コーナーにおける順位は埜口選手 → 長尾選手の順でした。僕の個人的な意見としては、オートポリスの1コーナーでアウト側から追い抜くという長尾選手の判断にそもそも無理があったように思います(かつて全日本に参戦していた方とお話しする機会があり、同様の意見でした)。
一方で、故意か否かに関わらず埜口選手がアウト側に寄せたことが長尾選手のコースオフした一因であることは明らかです。MotoGPやWSBK、また四輪のトップカテゴリーなど世界の一流選手同士のレースでは相手選手と競っている時にラインを一本残すというシーンはごく当たり前のこととして見慣れているわけで、それと比べるといささか粗削りな印象を拭えません。
従って、この件はどちらかが一方的に悪いという話ではなく双方にアクシデントを招いた要因があり、レース後審議となったものの最終的にレーシングアクシデントとしてお咎め無しとなったのは必ずしもアンフェアな裁定だとは思いません。とはいえ接触して危険なシーンであったことは事実ですから、お互いに何らかの形で話し合う場を設けることがスポーツマンシップとして正しい姿だと思いますし、そうして禍根を残さないことでこの先2人が再びレースで相まみえた時にはクリーンなバトルを期待したいです。
以上、いちレースファンとしての感想でした。