S1000RR サスペンション初期設定値(DDCなし)

S1000RRのサスペンションの初期設定値(工場出荷状態)を確認します。
車両はS1000RR(K67)DDCなし。前後マルゾッキ製サスペンション。
S1000RRのマニュアルによると、ライダーの体重は85kgを想定しています(この重量にウェア・ヘルメットなど装備品の重さが含まれるかどうかは不明)。

 

初期設定値まとめ
フロント
・プリロード 最弱
・伸び側減衰(赤色)「5」
・圧側減衰(黄色)「5」
・突き出し 6mm
・ステアリングダンパー 最強から4クリック戻し
 【マニュアルの推奨値】
  公道・・・最強から8クリック戻し
  サーキット・・・最強から4クリック戻し

 

リア
・プリロード 25mm
・伸び側減衰(下) 最強から5クリック戻し
・圧側減衰(上) 最強から5クリック戻し
・車高調整・ピボット位置は後述

以下、それぞれの詳細を見ていきます。

 

 

フロントフォーク

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赤色の右側トップキャップでプリロードと伸び側(リバウンド)減衰の調整。
黄色の左側で圧側(コンプレッション)減衰の調整。
伸び側と圧側の減衰を片方のフォークで独立して行う、オーリンズNIXタイプのような構成です。

 

プリロード

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フロントフォーク右側、赤色のトップキャップ中央(黒色の六角ボルト)に車載ツール又は13㎜のソケットを使用して回転させます。時計回りでプリロードが掛り、反時計回りで弱まります。
車載ツールは樹脂製で精度が甘く舐めやすいので、信頼できる工具メーカーのソケットを使用した方が確実です。
またプリロード調整はフォーク右側のみで行います。フォーク左側のボルトには車載ツール(ソケット)が入りません。
初期設定値は最弱です。

 

 

伸び側減衰

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赤色のトップキャップ、中央の切れ込みにマイナスドライバーを当てて調整します。切れ込みの隣に小さな「●」があり、それが指している数字(上記画像では「5」)が現在値です。数字が小さいほどソフト、大きいほどハード。
初期設定値は「5」です。

 

 

圧側減衰

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フロントフォーク左側、黄色のトップキャップです。調整方法は伸び側と同様。
初期設定値は「5」です。

 

 

突き出し

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ノギスを当てている黒い部分の長さで初期設定値は6mm(ケガキ線2本目)。ケガキ線1本=3mmです。

 

 

ステアリングダンパー

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アジャスターはトップブリッジ左下に見えます。先端の丸い部分を回して調整します。時計回り(画像では上から下方向)でハード、反時計回りでソフトに。
初期設定値は最強まで締めこんでから4クリック戻しです(ただし最初のクリックを0とカウント)。
なお、マニュアルでは以下の数値を推奨しています。
オンロード走行は最強から8クリック戻し
レーシング走行は最強から4クリック戻し

 

 

 

リアサスペンション
プリロード

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スプリングの上にあるアジャストリングを、固定ボルトを緩めてから車載ツールで回転させます。固定ボルトは画像でアジャストリング右端にある星形ネジ。T25のトルクスを使用します。
アジャストリングは画像で左方向に回すとプリロードが掛り、右方向に回すと弱まります。
調整を終えて固定ボルトを締める際、規定の締付トルクは6Nm。
プリロードの初期設定値は25mm(下記画像でノギスを当てている部分の長さ)です。

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伸び側減衰

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伸び側のアジャスターはリアサス下側の付け根にあります。かなり奥まったところにあり長めのマイナスドライバーでないとアクセスできません。そのうえ、すぐ近くにマフラーのメインサイレンサー(弁当箱)があるので走行直後は高温・火傷に注意が必要です。
ドライバーを回すとクリック感があり、時計回りでハード、反時計回りでソフトに。
初期設定値は最強まで締めこんでから5クリック戻しです(ただし最初のクリックを0とカウント)。

 

 

圧側減衰

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リアサス上側の付け根にあります。ドライバーを回すとクリック感があり、時計回りでハード、反時計回りでソフトに。
初期設定値は最強まで締めこんでから5クリック戻しです(ただし最初のクリックを0とカウント)。

 

 

 

車高調整

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レースパッケージ及びMパッケージには車高調整機構があります。下の画像のようにノギスを当てた部分の長さを測定します。

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僕が測定した数値は8mmでした。
マニュアル記載の基本調整値は9.5mmです。

 

 

 

ピボット調整

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レースパッケージ及びMパッケージにはピボット位置の調整機構があります。
初期設定値は画像の位置です。この部分はかなりテクニカルな調整だと思うので、僕の場合あまり触ることはないかもしれません。

 

 

 

所感
プリロード・ダンパーの調整方法に特殊なところはなく、国産車やオーリンズと同じ感覚で触ることができます。
サスペンションの初期設定値を確認するのはそれが今後の基準となるからです(それが適切な値かどうかは別の話)。セッティングを変更して迷った時、いつでも最初の状態に戻せるよう初期値を記録しておくのです。
なお、S1000RRのマニュアルにはこうしたサスの調整方法が図解でわかりやすく説明してあるほか、主要な各部の締付トルクを記載するなど大変充実した内容になっています。