ラップタイマーアプリのRaceChronoはタイム計測・表示に加え、走行ログ(データ)を解析してグラフ等に可視化します。当アプリの概要は過去の記事にまとめています。
具体的には主に以下のようなことができます。
各ラップのセクター(区間)タイムが表示される。区間ベストを繋げた仮想ベスト(タラレバベスト)もわかる。
コース図に走行ライン、加速・減速の状態(緑が加速、赤が減速)、セクター別の最高速と最低速度が表示される。
速度グラフ(及び加速度やバンク角など各種グラフ)が表示される。
コース図、グラフがGoPro等の動画再生に連動し、一つの画面で確認できる。
これらの機能は自分の走りを客観的に知る手助けになります。デイトナ675RでのHSR九州の走行を通じて、当アプリを活用した走行分析の一例を記します。
セクター
RaceChronoではHSR九州を下図の通り4つのセクターに分け、それぞれの区間タイムを計測します。
課題の場所をピックアップして比較する
僕にとって今最も課題に感じているのはセクター3(第2ヘアピン~シケイン)です。ここで大きくタイムロスしている感覚があり、データ上でもラップ毎にタイムのバラつきが大きく安定していません。
サンプルとして、先日走行したデータの中から1分11秒16のラップ(A)と1分11秒10のラップ(B)の区間タイムを比較してみましょう。
トータルではほぼ同タイムながら、区間別に見るとセクター3はBの方が約0.4秒速いタイムでした。この短い区間で0.4秒というのは結構大きな差です。何が違うのでしょうか?
最低速度と最高速を比較する
セクター3の区間別の最低速度と最高速を見てみます。
A(15秒41)は、最低速度が52km/h(2ヘアのクリッピングポイントで記録)、シケインを抜けた後の直線区間で最高速が174km/hでした。対してB(15秒02)は2ヘアの最低速度が48km/h、シケイン後の最高速が185km/h。
Bのほうがヘアピンのボトムスピードは遅いのに、その後の最高速は10km/h以上も速くなっています。
アプリ上で動画を再生してラインの違いを比較する
RaceChronoアプリ上でセクター3の走行動画を再生すると、Bは2ヘアから続く右~左~右の切り返しをまずまずスムーズに抜けて加速に繋げているのに対し、Aは2ヘアの後半で向き変えが不十分なため、続く右~左~右の切り返しも後手後手に回り、次の直線に向けてアクセルを開けるべきところでなかなか開けられない様子が見てとれました。
その結果AとBではシケイン後の最高速で11km/hも差が生じ、それが区間タイムにはっきりと反映されました。
まとめ
この比較で分かったことは以下の通りです。
- セクター3はいかにシケインをスムーズに抜けて、次の直線に向けて早くアクセルを開けていけるか、つまり立ち上がり重視の走りができるか否かでタイム差が大きく開く。
- 立ち上がり重視の走りをするためには、シケイン手前の2ヘアがポイントで、ここで早めに向き変えを済ませて出口でアウトにはらまず、ミドルからシケインに進入して先手先手で切り返していく。
- そのためには2ヘアのボトムスピードをあえて落として(我慢して)しっかり向きを変えなくてはならない。
- 2ヘアで我慢しきれず中途半端にコーナーリングスピードが高いと出口でアウトにはらみ、続くシケインが苦しくなってタイムが落ちる。
このようにRaceChronoを活用して自分の走りを分析していくと、何が良くて何が悪いのか、そして次回にどのように走ればよいかが客観的に見えてきます。
データロガーの解析って取っつきにくい印象がありますが、当アプリの秀逸な点は走行動画を再生しながら各種データが連動して一つの画面に表示されるため、どこに問題があるか直感的に見つけやすいことです。