怒りのタイヤ交換

僕が普段お世話になっているショップには技術的にも人間的にも大変信頼のおけるメカニックがいるので、メンテナンスは全て任せっきりです。自分で整備をほとんどできない僕にとっては行きつけのショップとの関係性はすごく重要で、常にマシンを万全の状態に保ってくれるお店があるからこそ、バイクを思い切り楽しむことができるのです。
整備の作業は人間のやることですから、長い付き合いの中で時には完璧でないこともあります。そうした時のアフターフォローもお店として納得のいく形で示してくれるからこそ、全幅の信頼をおくことができるのです。
ただし、安易な安売りはしないお店です、それなりの費用は求められます。質の高いサービスを適正な価格で提供するというポリシーなのでしょう、僕も商売としてその考えには大いに賛同するところです。しかし一方で消耗品類、ことタイヤに関しては量販店の圧倒的な安さに惹かれることもまた事実です。
そんなわけで、つい魔が差したとでも言いましょうか、通りすがりのお店でタイヤ交換をしてみた、今回はそんなお話です。

 

その日の僕は、保安部品を取り付けたデイトナ675Rで久しぶりのショートツーリングを兼ねて、あるバイク用品店に立ち寄りました。

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ライコランド福岡マリナ店さんです。言わずと知れた全国チェーンのお店ですね。
さっそくタイヤコーナーに向かい、ピレリの銘柄を指名、交換作業を依頼することとしました。

サンデーライダー(以下SR)「国産車ではないんですけど、作業お願いできますか?」

店員さん「問題ありませんよ、ついさっきも別のデイトナ675のタイヤ交換をしていたところですから。」

そんな会話の後ピットへ車両を預けます。作業はかなり慎重に行っている様子で、例えばフロントスタンドを使う際、干渉して傷がつきやすいフロントフェンダーにウェスを当てるなどしていました。
小一時間が経過し前後ともタイヤ交換が終わったようです。別の店員さんが来て、「ちょっと車両を確認してもらえますか?」とのこと。うながされるままピットに入ると、スイングアームのリアアクスル上部がガツンとえぐれているではありませんか。

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SR「!!」

店員さん「実は、工具を当ててしまって、この部分を削ってしまいました。」

SR「あらららら…」

店員さん「大変申し訳ありません。補修するのであれば、後日部品等を手配し、しばらく車両をお預かりすることになりますが…」

SR「うーん…」(いや、これは補修なんてできないでしょ? 本当に直すとすれば、スイングアーム全取っ替えしかないと思うけど)

店員さん「もしくは、もし許されるのであれば、今回の件、値引きということで対応させていただきますが。」

SR「まあ、ここが少し削れたぐらいで走行に影響が出るとは考えづらいから、いいでしょう。その代わり安くしてくださいね。」(削れたものは元に戻らないし、かといってこの程度の傷でスイングアームをまるごと交換なんて気が引けるし…)

店員さん「わかりました、少しお時間ください。」

しばらくして、店員さんが戻ってきました。

店員さん「今回、前後タイヤ代・工賃込みで総額63,000円のところ、お詫びとして59,000円といたしますが、いかがでしょうか?」

SR「?!」(え?)

SR「…。わかりました。それでいいでしょう。」

というわけで、修復不可能なスイングアームと引き換えに、僕は4,000円の値引きを手に入れたのでした。

 

ほんのわずかな傷とはいえ、スイングアームが削れてしまった事実。これは確かにショックでした。まだ納車後半年も経たない、一度の転倒もしていない大切な車両を傷物にされたのは本当に悔しく残念なことです。しかし人間のやることです、失敗がないとは限りません。作業を担当した若い(おそらく未熟な)兄ちゃんを責める気にはなりませんでした。(本人は大変責任を感じて、何度も何度も頭を下げてくれました)
腑に落ちないのはその後のお店の対応です。お店側は最初「補修します」と言っていたものの、傷の状態を見れば補修できるような類ではないことなど明らかです。かといってこの程度の小さな傷でスイングアームごと交換するなんて大げさな話には僕としてもしたくないので、好意で「そのままで良いです、その代わり安くしてください(=お店としての誠意を見せてください)」と言ったつもりでした。
しかしそれに対する回答は、今回のタイヤ交換工賃である4,860円にも満たない、たった4,000円の値引き。僕からすれば、修復不可能な傷をつけた時点で作業としては破綻しているのだから、最低でも工賃分の値引きはあってしかるべきと思うのですが…。
何も全部タダにしてほしいなどとは言いません。でもね、僕としては苦労に苦労を重ねて慣らしを済ませ、我が子のごとく大切に扱ってきた愛車をザックリとえぐられて酷くショックを受けたのです。それでもなお、仕方ないですねと譲歩しているのに、その好意に便乗して誠意のかけらも感じられないお店の対応。愛車を大事に思うライダーの気持ちを踏みにじるようなお店に来てしまったと、僕は心底後悔しました。店側からすれば「このお客、なんだか人もよさそうだし『いいよいいよ』と言ってくれてるから、4,000円だけ値引きして、あとはやらかしたメカニックに頭を下げさせて『コイツが悪い』という話にしておけば全て丸く収まるでしょ。4,000円なら上司(本部?)への報告も簡単に済むし。」程度の考えなのでしょう。
まあ、しょせん量販店なんてどこもこの程度のレベルなのかもしれません。安かろう悪かろう、そのリスクを深く考えずに作業を依頼した僕に責任があるといえばそれまでの話です。しかしそれにしても怒りが収まらないので、今回はあえてこのような記事を書いた次第です。

 

 

2016/8/22追記
これまで店名は伏せていましたが、この出来事から2年が経過し、そろそろ時効(?)かな…との思いで店名を記載することにしました。