オートポリスのブレーキを考える

灼熱のHSR九州で思うように走れず消化不良だったので、翌週にオートポリスを走りました。気温は23℃前後、前週のHSRとは別世界です。

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標高800mに位置するオートポリスは今がベストシーズンと言える気候です。11月にもなれば気温が一桁になることがしばしばで、冬に入ると周辺地域を含めて深い雪に覆われることも珍しくありません。コンスタントに良いコンディションで走れるのは10月までで、今年は実質的に残すところあと2か月といったところでしょう。

 

朝イチ、コース清掃を行うオフィシャルの皆さん。この人たちのおかげで安全に走ることができます。

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5月に交換したタイヤ(パワーカップ2)はここまで3時間強の走行時間。フロントはグリップに一切不安がなくまだ全然イケますが、リアは既に美味しいところが終わってしまった感じです。そこで今回はあまりタイムにこだわらず、テーマを決めて練習することにしました。そのテーマとは、

「1コーナーのブレーキポイントを明確にする」

です。(今更そんな初歩的なことかよ、というツッコミはナシで…。)

 

 

基本のおさらい
オートポリスの1コーナーは、リッターSSの場合260km/h以上まで加速し、そこから90km/h弱までフルブレーキングして直角に曲がるセクションです。自分の走行動画で検証すると純粋なフルブレーキングを4秒以上続けていることが分かりました。

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理想的なコーナーアプローチは、

フルブレーキング
 ↓
コーナーリングのためにフロントに適切な荷重を残すブレーキ
 ↓
寝かし込み

という流れが無駄なく行われることです。

 

しかし掛け始めのポイントが定まらず手前からブレーキを掛けてしまうと、

フルブレーキング
 ↓
速度が落ちすぎたのでレバーの入力を弱めて中途半端なブレーキ
 ↓
フロント荷重を残すブレーキ
 ↓
寝かし込み

となってしまいます。
この2番目の中途半端なブレーキがタイムロスとなります。過去の走行ログを比較検証していると、1コーナーのブレーキがうまく行くかどうかだけで0.5秒から1秒近くタイムが変わってくることが分かりました。たった一つのコーナー、たった一つの動作でこれほどのタイム差が発生するのです。

 

 

掛け始めのポイントを決める
結論から書くと、僕の場合はピットレーンから伸びるゼブラゾーンの先端を目安にブレーキを掛けることにしました。

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画像で黄色に囲った部分を目標にブレーキを握り始めると、無駄なく1コーナーへのアプローチに繋げられる確率が高く、なおかつマージンも少し残るので冷静にマシンをコントロールできると感じました。
ただしゼブラの先端を超えてしまうと突っ込み過ぎで、オーバースピードのリスクが高まります。掛け始めのポイントに集中することが非常に大切です。

 

 

区間タイム
今までブレーキを何となく握り始めていたために1コーナーの区間タイムはバラつきが大きかったのですが、今回の取り組みでかなり安定しました。ブレーキを掛け始めるポイントを一度決めてしまえば特に難しいテクニックも必要なく、再現性が高い点もメリットです。

 

 

風向きは考慮する
日によってホームストレートが向かい風になることがあります。最高速が落ち、ブレーキも風の抵抗でより止まりやすくなります。それによってブレーキポイントが明らかに変わるほど影響を受けることは頭に入れておきます。

 

 

車両によっても変わる
同じリッターSSでも例えばCBR1000RR-Rはホームストレートで290km/h以上(!)出る車両もあるようなので、当然ブレーキポイントは手前になります。レクサスブリッジ辺りから握り始める感じでしょうかね?
またデイトナ675Rなど600クラスではずっと奥、200m看板が目安です。

 

 

突っ込み過ぎた時の対処は想定しておく
ブレーキを遅らせ過ぎて、止まりきれないかも!となった際の対処方法を予めイメージしておくと、万が一の時に後悔しなくて済むかもしれません。
多少の突っ込み過ぎ程度ならクリップでインにつくことを諦めてひたすらフルブレーキングに集中すれば、大抵コースアウトせずに止まり切れる(安全な速度まで落とせる)ものです。オートポリスのコース幅は12m~15mもあり、インにつくことを諦めればアウト側の縁石まで少なくとも12mのコース幅をブレーキのマージンとして使えるわけです。通常は車体の寝かし込みに移行する段階でジワジワとブレーキをリリースしていきますが(フロントに荷重を残すブレーキ)、止まり切れないと判断した時はこの区間もフルブレーキを行うことで、かなり長い距離を制動区間に充てることができます。加えてブレーキの特性として、後半にかけて二次曲線的に速度が落ちることも頭の片隅に入れておきます。この特性は物理法則によるものなので、車両や装備(パッドやキャリパー等)は関係ありません。
これらのことから余程のオーバースピードでない限り意外と止まり切れる・曲がり切れるものではありますが、咄嗟の判断で焦って操作ミス→転倒というパターンは避けたいので、ヤバいと思ったら中途半端に曲がろうとせずグラベルに真っすぐ突っ込んだほうが賢明かもしれません。

オートポリスの場合、3コーナーや2ヘアがオーバースピードになりがちで(特に2ヘアはレースでも握りゴケやオーバーランが多い)、1コーナーでコースアウトするケースは比較的少ないような気がします。

 

 

リアがムズムズする
さて、1コーナーのブレーキ以外のことも触れておきます。3時間超使用のタイヤはリアのグリップ感が不足気味。車体を深く寝かせるとムズムズと気持ち悪く動くので積極的に荷重を掛けていけず、安全運転に終始していました。タイムは1本目の2分7秒1がベストで、2本目は2分9秒台しか出ず…。さすがにベストの5秒落ちはいかがなものかと思いましたが、新車1年未満のS1000RRで絶対に転倒したくないマンなので、無理せず1コーナーのブレーキ練習に専念しました。速い人は使い込んだタイヤでもそれなりのタイムで周回できるのでしょうが、永遠に未熟な僕は少しでもコンディションが悪くなると途端にタイムがガタ落ちします。これが本来の実力というものです。

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(Twitter経由で写真をいただきました)

 

 

タイヤの交換時期
今回を含めると今履いているタイヤの走行履歴は

  • オートポリス 30分×6本
  • SPA直入 20分×2本
  • HSR九州 20分×2本

延べ4時間20分使用となりました。

 

フロント

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リア

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フロントはまだ当分不安なく使えそう。リアは見た目まだまだイケそうなんですが、今回はグリップの低下をかなり感じました。もしかしたら違う要因(空気圧? コースの路面コンディション?)があったかもしれませんが、気持ちよく走れる段階が過ぎてしまったことは確かです。まだ使えるからと言って転倒の脅威に怯えながら我慢して走るより、そろそろ新しいタイヤに替えるタイミングかな…と考えています。走行時間的にも4時間超ですし。
次のタイヤは何にしよう? もう一度同じパワーカップ2にするか、そろそろ溝の無いタイヤに行っとくか…。