オートポリス スポーツ走行 2021.4.10

少し時間が開きましたがオートポリスの走行記録です。

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今回は相ピットさせてもらいました。奥に見えるCBR1000RR-Rはこのコースの直線で300km/hに到達するそうです。

 

 

 

足回りメモ
【フロント】
 プリロード 最弱から+2回転
 伸び側減衰 7
 圧側減衰 5
 ステアリングダンパー 最強から4クリック戻し

 

【リア】
 プリロード 25mm
 伸び側減衰 最強から5クリック戻し
 圧側減衰 最強から5クリック戻し

フロントは前回走行の残ストを見てプリロードを+2回転。また少しフワフワと落ち着きがなく接地感に自信を持てなかったので、伸び側減衰のみ+2クリックしました。
リアはプリロード・減衰ともに初期値から変更なし。

 

 

 

サスセット変更後の感想
フロントの動きに落ち着きが出て、前回走行時に感じた不安感はひとまず払しょく。少しずつマシンに身体を預けていけるようになってきました。
リアは立ち上がりでアクセルを大きく開けた時に、ウネウネと気持ちの悪い挙動を見せることが増えました。1ヘア立ち上がり、さよりんブリッジ後などで顕著です。マシンに慣れてアクセルを開けられるようになった結果ではありますが、目下のところ課題はリアにあると感じています。

さよりんブリッジ(画像はauto sport webより)
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電子制御の設定
S1000RRは走行モードを「RACE PRO」に変更することで、

  • エンジン特性
  • エンジンブレーキ
  • トラクションコントロール
  • ABS
  • ウィリー制御

の各項目を個別に調整することが可能になります。

 

 

 

エンジン特性
今回の走行のテーマは「アクセルをカチッと(大きく)開ける」です。そのためにエンジン特性はあえてマイルドな設定にします。大きく開けてもマシンが過敏に反応しない=開けやすくする狙いです。
電子制御によるエンジン特性の設定は4段階。
「1」・・・最適なレスポンス、トルク最大
「2」・・・最適なレスポンス、低速ギアでトルク低減
「3」・・・ソフトなレスポンス、トルク最大
「4」・・・ソフトなレスポンス、低速ギアでトルク低減

サーキットであれば通常は「1」。「4」はレイン用という位置づけ。
今回は「2」と「3」を試して、どちらがより開けやすいか、またタイムを出しやすいか試してみました。

 

 

 

エンジン特性「2」
「2」は最適なレスポンス、低速ギアでトルク低減。

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スロットルのレスポンスは鋭いままで、低速ギア(恐らく1速と2速)でトルクを間引くような制御を行うようです。
2速で引っ張ると回転数だけ上がって前に進まない(加速が鈍い)フィーリングでした。しかしアクセル操作に対しては敏感にレスポンスするので、開け始めで丁寧に操作しないと車体がドンと前に出てしまう怖さが残ります。つまり、

  • レスポンスが良い=開け始めが扱いづらい
  • トルク低減=開けた後に加速しない

という特性で、僕の場合開けづらいしタイムも出しづらいと思いました。

 

 

 

エンジン特性「3」
「3」はソフトなレスポンス、トルクは最大。

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走行前の暖機でブリッピングするだけでも回転上昇が通常より抑えられていることに気づきます。開け始め、アクセル開度が少ない時にはマシンが敏感に反応しないので開けやすく、全開付近まで持っていくとエンジン特性「2」のようにトルクが間引かれることなく強烈な加速を行います。

  • レスポンスがソフト=開け始めが扱いやすい
  • トルク最大=開けた後にしっかり加速する

という特性で、この設定が今の自分には合っていると感じました。

 

 

 

DTC
DTC(トラクションコントロール)の設定は最も介入が少ない「1」とします。

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加えて走行時のメーター表示にて「-7」から「7」まで微調整でき、今回は初期値の「0」及び1段階だけ介入を少なくした「-1」を使用しました。(7が最大の介入、-7が最小の介入)

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マシンに慣れてタイムを出しに行く段階になったら、もっと介入を減らす方向になると思います。

 

 

 

エンジンブレーキ
前回はエンジンブレーキがやや効く設定にしていましたが、今回は最も効かない設定に変更しました。この設定にすると後半のテクニカルセクションを2速固定で走った場合に、回転数を維持しやすいと感じます。エンブレが効き過ぎると上り区間で失速しがちです。

 

 

 

走行動画
以上のような各種設定にて走行した動画です。

 

 

 

課題
「アクセルを大きく開ける」という課題に対しては、前回よりだいぶ開けられるようになったとは思います。マシンに慣れてきたことと、電制の設定によるものです。しかしまだ明らかに開け切れていない区間もたくさんあります。

  • 1コーナーから3コーナーまで
  • 1ヘア立ち上がり
  • 250Rから2ヘアまで
  • 最終コーナー立ち上がり

これらが特にダメダメです。
動画で見ると、1コーナーから3コーナーまでの区間と最終コーナー立ち上がりはトラクションコントロールもそれほど作動していないのに、単にビビッて開けていないだけに見えます。ここは恐れずにしっかり開けていかなくては。
1ヘア立ち上がりは、続く右100Rに向けてバンクさせながらの加速で、ここは大きくアクセルを開けると前述の通りリアがウネウネと怪しい挙動を見せることがあります。こうした現象はデイトナ675Rの時に経験がなく、どう解釈して良いか悩んでいます。タイヤが滑り出してトラコンがそれを抑えているような動きにも思えるし、リアサスがパワーに負けて動いてしまっているようにも思えます。この原因特定が今後一番の課題といえそうです。


リアタイヤもこの通り荒れが目立ちます。

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とはいえ今回はS1000RRでまだ2回目のオートポリス。この時点でベスト2分7秒7は、自分としては悪くないタイムです。引き続き一つ一つじっくり取り組んでいこうと思います。

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S1000RR ライポジ改善計画

ここで主なリッターSSマシンのシート高を見てみます。

 ・ CBR1000RR-R 830mm
 ・ YZF-R1 855mm
 ・ ZX-10R 835mm
 ・ GSX-R1000R 825mm
 ・ パニガーレV4 835mm
 ・ S1000RR 824mm

 (全て2021年時点で最新モデルの数値) 

 

S1000RRはSSとしてはシート高が低いことが分かります。またハンドルの位置が近くて前傾姿勢も比較的楽な部類です。街乗り・ツーリング用途で使われることをきちんと考慮された構成であると感じます。(グリップヒーターやオートクルーズが標準で装備されているくらいですから…)

 

しかしノーマルのシート高では、ニーグリップの際に膝と内ももが本来のタンク位置より下(フレームカバー)に接するため、マシンホールドの一体感に欠けると感じます。どうもノーマルシートは足つきを優先して適正なシート高より意図的に低くしているような印象です。僕は身長174cmの中肉中背、日本人として平均的な体型ですから、同じように感じている人は少なくないのではと思います。
この不満を解消するため、幾つか新しいパーツを導入しました。

 

 

 

Mハイシート
純正オプションのハイシートです。ノーマルと比べて25mm高く、座面が硬めで沈み込みも抑えられます。

 

ノーマル 824mm
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Mハイシート 849mm
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こうして見比べると、むしろノーマルのほうがアンコ抜きしたような不自然な形状に見えなくもありません。

 

 

 

ステップ位置調整
ステップはベビーフェイスのバックステップを導入済みです。
BabyFace パフォーマンスステップキット

 

今回、シート変更で座面の位置が高くなるのに合わせてステップの位置も調整します。
変更前(純正比 0mmバック/15mmアップ)
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変更後(純正比 10mmバック/25mmアップ)
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これで跨ってみると違いは歴然。ノーマルシートの時は膝がしらと内もも付け根の「点」でホールドしている感覚だったのに対し、変更後はニーグリップがタンクの位置に収まり、内ももから膝にかけて外足全体の「面」でホールドできるようになりました。

 

 

 

才谷屋 タンクカバー
ホールドの一体感をより高めるためタンクカバーを装着しました。ノーマルタンクと比べ後端部が盛り上がっており、腰をずらした時に外足を引っかけやすい形状です。

 

ノーマルとの比較画像(才谷屋HPより引用)

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赤い部分がノーマルタンク。黒く透けているのがタンクカバー。

EIGHT(才谷屋ファクトリー)'19~S1000RRタンクカバー

 

実際に装着するとこんな感じ。

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先日のオートポリスで試してみたところ感触は良好。ハイシートとの相性も良く、これらのパーツで操作性は確実に向上しました。

 

 


デメリット
ハイシートは言うまでもなく足つきが悪化します。タンクカバーは後端が盛り上がっていて前乗りしづらく、結果的にハンドル位置が遠くなります。どちらもツーリングではデメリットになります。
またハイシートの場合、ノーマルステップだと足の位置が少し低すぎるかもしれません。体型や好みにもよりますが、ベストのポジションを求めるならバックステップが必要です。

 

 

 

まとめ
バイクを買ってまずやるべきカスタムはライディングポジションの適正化です。どれだけパワーを上げようが、グリップを引き出す足回りを手に入れようが、そのマシンを操作するのは自分自身。自分が扱いやすい条件を整えなければ全て宝の持ち腐れです。
ライディングの基本は下半身ホールド、バイクは足腰で操作する乗り物です。だからまず第一にステップ、次にシートやタンク周りといった下半身ホールドで触れる部分を自分好みに調整します。こうして自分が走りやすいポジションを見つけることが、そのバイクを楽しむスタート地点ではないかと思います。

S1000RRのブレーキ

S1000RRのフロントブレーキは、効力の立ち上がりが穏やかでタッチもやや頼りなさを感じるものの、握り込めばしっかり減速できるという印象です。街乗りを考慮すると良いバランスなのではないでしょうか。

 

メーターにはブレーキの減速度(どれくらい強く減速できたか)が表示されます。タコメーターの右側、「BRAKE」のゲージです。

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これはオートポリスを走った時の数値で、最大減速度は12m/s2近辺を指しています。ブレーキ関係は全てノーマル、ABSは最小限の介入に設定(オフではない)。
この12m/s2という値がどの程度の意味を持つか正直ピンと来ないのですが、表示されるゲージの上限に近いのでそれなりに減速できているのかな?と思います。

 


フロントのキャリパーはHAYES(ヘイズ)というあまり聞いたことのないメーカー。

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ディスクは5mm厚(S1000RRのベースグレードは4.5mm厚。レースパッケージ・Mパッケージのディスクは強化版が付いてくる)。こんがり焼けています。

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納車直後のディスクはこんな色。

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マスターはニッシンのラジアルポンプ。

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キャリパーやディスクを社外品に換えるという考え方もあると思いますが、少なくとも効きの強さという点では実用上ノーマルのままで問題ないかなという感じです(全日本ST1000もレギュレーションに沿ってノーマルキャリパーを使用)。
ただ、ブレーキを多用するHSRで走行を続けているとレバーの入りが深くなった点は気になりました。使用状況によってはリモートアジャスターが必要になるかもしれません。
あとはパッド交換と、できればマスターをブレンボのラジアルポンプに換装すればブレーキがもっと楽しくなると妄想しています。


ABSはオフにせずRACEモードで最小限の介入に設定。強く握り込んでも自然なフィーリングでABSの存在を感じさせません。デイトナ675RではABSが露骨に介入して空走区間が生じ、怖い思いをした経験があります。そのためサーキットでは解除していましたが、S1000RRは今のところその必要がありません。

 

そして言うまでもありませんがブレーキはキャリパーやパッドの性能だけで良し悪しが決まるわけではなく、ハードブレーキを受け止める車体全体のバランスが重要です。いくら高価なパーツでブレーキシステムを組んでもサスペンションがフニャフニャだったら強くブレーキを掛けることはできません。
その点S1000RRはガッツリ握り込んでもリアの挙動が落ち着いており、車体バランスの良さを感じます。加えてダウン側のオートシフターはバックトルクの変動を抑えてリアのホッピングやスネーキングが起こりにくくなるため、陰ながらブレーキの安定に大きく寄与しています。