ここで主なリッターSSマシンのシート高を見てみます。
・ CBR1000RR-R 830mm
・ YZF-R1 855mm
・ ZX-10R 835mm
・ GSX-R1000R 825mm
・ パニガーレV4 835mm
・ S1000RR 824mm
(全て2021年時点で最新モデルの数値)
S1000RRはSSとしてはシート高が低いことが分かります。またハンドルの位置が近くて前傾姿勢も比較的楽な部類です。街乗り・ツーリング用途で使われることをきちんと考慮された構成であると感じます。(グリップヒーターやオートクルーズが標準で装備されているくらいですから…)
しかしノーマルのシート高では、ニーグリップの際に膝と内ももが本来のタンク位置より下(フレームカバー)に接するため、マシンホールドの一体感に欠けると感じます。どうもノーマルシートは足つきを優先して適正なシート高より意図的に低くしているような印象です。僕は身長174cmの中肉中背、日本人として平均的な体型ですから、同じように感じている人は少なくないのではと思います。
この不満を解消するため、幾つか新しいパーツを導入しました。
Mハイシート
純正オプションのハイシートです。ノーマルと比べて25mm高く、座面が硬めで沈み込みも抑えられます。
ノーマル 824mm
Mハイシート 849mm
こうして見比べると、むしろノーマルのほうがアンコ抜きしたような不自然な形状に見えなくもありません。
ステップ位置調整
ステップはベビーフェイスのバックステップを導入済みです。
BabyFace パフォーマンスステップキット
今回、シート変更で座面の位置が高くなるのに合わせてステップの位置も調整します。
変更前(純正比 0mmバック/15mmアップ)
変更後(純正比 10mmバック/25mmアップ)
これで跨ってみると違いは歴然。ノーマルシートの時は膝がしらと内もも付け根の「点」でホールドしている感覚だったのに対し、変更後はニーグリップがタンクの位置に収まり、内ももから膝にかけて外足全体の「面」でホールドできるようになりました。
才谷屋 タンクカバー
ホールドの一体感をより高めるためタンクカバーを装着しました。ノーマルタンクと比べ後端部が盛り上がっており、腰をずらした時に外足を引っかけやすい形状です。
ノーマルとの比較画像(才谷屋HPより引用)
赤い部分がノーマルタンク。黒く透けているのがタンクカバー。
EIGHT(才谷屋ファクトリー)'19~S1000RRタンクカバー
実際に装着するとこんな感じ。
先日のオートポリスで試してみたところ感触は良好。ハイシートとの相性も良く、これらのパーツで操作性は確実に向上しました。
デメリット
ハイシートは言うまでもなく足つきが悪化します。タンクカバーは後端が盛り上がっていて前乗りしづらく、結果的にハンドル位置が遠くなります。どちらもツーリングではデメリットになります。
またハイシートの場合、ノーマルステップだと足の位置が少し低すぎるかもしれません。体型や好みにもよりますが、ベストのポジションを求めるならバックステップが必要です。
まとめ
バイクを買ってまずやるべきカスタムはライディングポジションの適正化です。どれだけパワーを上げようが、グリップを引き出す足回りを手に入れようが、そのマシンを操作するのは自分自身。自分が扱いやすい条件を整えなければ全て宝の持ち腐れです。
ライディングの基本は下半身ホールド、バイクは足腰で操作する乗り物です。だからまず第一にステップ、次にシートやタンク周りといった下半身ホールドで触れる部分を自分好みに調整します。こうして自分が走りやすいポジションを見つけることが、そのバイクを楽しむスタート地点ではないかと思います。