SPA直入は6月15日から約1カ月間路面改修工事に入るようです。今回は3コーナー付近が対象とのこと。
3コーナーは難しいポイントです。接地感が希薄になりやすく、通るラインによっては酷くギャップを拾うこともありスリップダウンの不安を抱えながら通過していくイメージがあります。ここの路面がスムーズになれば格段に走りやすくなるでしょうし、タイム向上の恩恵に浴する人も多いのではないでしょうか。
さて、675Rは昨年3月の納車から1年以上が経ちましたが、なかなかマシンと乗り手が仲良くなれない状況が続いています。ここまでの経緯をまとめると、
- 675Rに乗り換えた途端、タイムが大幅に悪化する。乗り換える前のマシンと比べるとSPA直入で1~2秒、オートポリスで4秒。
- 同じ乗り方をしているはずなのにこれだけタイムが落ちるのはバイクが原因に違いない、サスのセッティングが出ていないからだと考え、試行錯誤を始める。
- サスセッティング迷宮入り。一貫して接地感不足に悩まされる。
- 今年の初めにレイラスポーツにてサスのリセッティング。これで接地感不足はひとまず解消。
- しかしタイムは伸び悩む。自身の乗り方にも問題があることに気づく。
- ライディングのためのトレーニング開始。筋トレ、ランニング。
- 筋トレの成果でライディング中に自分の体をしっかりとホールドできるようになって、アベレージタイムが安定しだす。
- 675Rに対する信頼が芽生えはじめる。タイヤがグリップを失った時に、何が原因か把握できるようになりつつある(大抵は操作する側に問題)。
という感じで今に至ります。
ここ最近の課題は『前乗り防止』。アラフォーを迎えて筋力の衰えからか、またタイムが出ない焦りで乗り方が雑になるせいか、体をきちんとホールドできずについ前乗りになってしまうことが多く、リアへの荷重が抜けてグリップが失われることがたびたびありました。筋トレを続けてライディング時に体を支えることができる最低限の筋力を保ちながら、リア荷重・リアステアの意識で乗ることを心掛けています。
SPA直入スポーツ走行
先日SPA直入にてスポーツ走行に臨みました。
その際、前乗りにならないようなライディングを心掛けると同時に、サスセッティングも多少のアレンジを加えることとしました。レイラスポーツに施してもらったセッティングはフロントのプリロード、圧側減衰ともに弱めて前下がりを維持する方向性です。
今回の変更は、突き出しを減らし(14mm→6mm)プリロードを強めます。つまりフロントをやや高くする方向です。セッティングでも前乗り(過剰な前荷重)を防ぐ意図です。
フロントのプリロードとダンパーの関係
余談ですが、フロントを高くする(固める)にあたってプリロードとダンパーのどちらを変更したら良いかを探るために、以下の条件にて静止状態からフロントブレーキを握ってフォークをグッ、グッと押してみました。
- プリロードだけ強めた場合
- ダンパーだけ強めた場合
その結果、
- プリロードだけ強めた場合は、フォークの動き方はさほど変わらず、
- ダンパーだけ強めた場合は、グッと押し込んでもフォークの動きが鈍い
つまり、フロントに関してはダンパーを調整したほうが(手で動かしてみた限り)サスの動きに影響が出やすいようです。
今回は影響の少ないプリロードを大きく変更してみることにしました。
走行後の感想
今回のフロントのセッティングはこんな感じです。
突き出し量はケガキ線1本で3mm、2ライン=6mm。
走行後の残ストを見ると、
この直前、セッティングを変更する前の残ストはこちら。
見比べると、変更後は残ストローク量(余り)が少し増えています。
しかし感触としては前のめり感が減ってコーナー前半で積極的にマシンに荷重していける感覚があり、内向性も改善しているようです。タイムは675Rでは初めて48秒台に入り、アベレージも49秒前半といったところ。
ただし走り続けていると時おり接地感が抜けるような不安定な挙動もありました。残ストの余り具合も含めて、このセッティングが正しいのかどうかわかりません。次回同じセッティングで走っても同じペースで走れるのか、あるいは接地感不足が顕著になってタイムがガタ落ちするのか、もう一度試してみる必要があります。
目標ペース
できればあと0.5秒ペースを上げてアベレージ48秒中盤、ベストで47秒台を窺うくらいの状態に持っていければと思います。走行会レベルでは物足りないし、かといってレースに積極的に出るほどでもない“スポーツ走行愛好家”カテゴリーに属する人々にとって、それくらいのペースが気持ちよく走れる一つの基準だろうと考えます。
全日本トップライダーの一言
4月にライディングスクールを受講した際、Team GREENの柳川明選手から声を掛けてもらいました。この方は誰にでも気さくに話をしてくれる本当に素晴らしい人柄です。
柳川選手(以下87)「お久しぶりですねー、調子はどうですか?」
サンデーライダー(以下SR)「ご無沙汰しています。昨年バイクを乗り換えたら、全然うまく乗れなくて。それまでは結構いい感じだったのに…。」
87「へぇ~。前のバイクにはどれくらい乗ってました?」
SR「丸5年です。」
87「じゃあ、今のバイクも5年乗ったらうまく乗れるようになってるかもしれませんよ~。」
…とまあ、こんな会話でした。
5年乗ったらわかるだなんて、この時は柳川選手独特のジョークかなと思っていましたが、実は冗談で言ったわけではないのかも…と最近感じるようになりました。だって、今の675Rとは納車して一年以上経つ最近になって、ようやくわずかに信頼関係が生まれつつあるわけです。一台のバイクを理解し、自分のイメージ通りに乗れるようになるには想像以上に時間を要することなのかもしれません。
バイクを理解する、というのはマシンだけではなく自分のライディングも理解しなければいけません。バイクを自分の乗り方に合わせる、とか自分の乗り方をバイクに合わせる、なんて表現もありますが、どちらにしても自分がそもそもどういう乗り方をしているのか理解していなければ、両者をアジャストしていくことなど不可能です。しかも自分の乗り方は、その時の状況や年齢を重ねていくことで少しずつ変化し続けるものです。
だから、一つのバイクを乗りこなすためには、自分のライディングと真摯に向き合い、マシンと真摯に向き合い、いろいろな人の意見を聞いて、その中から本当に正しいことが何かを見極めていかなければなりません。
長い時間を掛けて1台のバイクと付き合っていく。そうして最終的に辿り着く地点が柳川選手と僕とでは天と地ほどの差はありますが、一人のライダーとしてバイクと向き合う心構えは同じなのではないか。そういう意味を込めて柳川選手はアドバイスをくれたのかもしれない、と勝手に解釈をしています。