ST1000仕様のS1000RR

昨年の全日本オートポリスで撮ったTONE RT SYNCEDGE4413のS1000RR。画像で判る範囲ながら、車両の仕様を見ていきます。

f:id:sundayrider:20210129114507j:plain

f:id:sundayrider:20210129114551j:plain

f:id:sundayrider:20210129114459j:plain

シートフレームの色がブラウンなのでベース車両はMパッケージかなと思いますが、ホイールはカーボンではなくレースパッケージのアルミ鍛造です。フロントフォークのアウター色が黒なのでDDC無し仕様。


ブレーキキャリパーはノーマル。ST1000のレギュレーション上、変更不可。フロントのマスターはブレンボのラジアルポンプ。ディスクも社外品。

 

フロントフォークのボトムケースに「INTEGRAL」のステッカーが見えるので同社のサポートを受けている? ストロークセンサーも同社の物でしょう(ちなみにインナーチューブ径は45φ)。
フロントの突き出し量はノーマルから変更していないように見えます。

 

リアサスは黄色のスプリングがチラリ。オーリンズ?
スイングアームはレギュレーションに沿ってノーマル。リアのインナーフェンダーもノーマルをそのまま使っているようです。

 

マフラーはアールズギアのフルエキ。
エンジン二次カバーは定番のGBRacing。ステップはアルファレーシング。
P.E.O.のステッカーがあるので同社のゼロポイントシャフトを使っているのでしょうか。


改造範囲の狭いカテゴリーなので全体的にノーマルの雰囲気が色濃く残っていますし、参考になる部分が多いです。
ちなみにMFJの競技規則には、ST1000のベース車両は一般市販価格300万円以下と記載されています。今年デビューのM1000RRは378万円です。
TONE RT SYNCEDGE4413は2021年度も引き続きS1000RRにてエントリーです。

SPA直入 2021年走り初め感謝デー

SPA直入で毎年恒例の会員感謝デー。税込2,200円で一日走り放題、カメラマンによる走行写真撮影付きの太っ腹企画です。

f:id:sundayrider:20210116170452j:plain

f:id:sundayrider:20210116174829j:plain

 

しかしこの日は寒波の影響で周辺地域に雪が残るなか、来場者は10名にも満たず閑散としています。
朝の気温は4℃、日中も6℃までしか上がらず路面温度は終始一桁。無理はできません。

f:id:sundayrider:20210116170504j:plain

 

S1000RRはサーキット走行に備えてミラーとナンバープレートを取り外します。

f:id:sundayrider:20210116173548j:plain

やはり保安部品を外すと見栄えがしますね。走行距離は300kmに達し、エンジンの回転数はそれまでの7,000回転縛りから9,000回転まで解禁。引き続き慣らしを進めます。

 

8,500回転を目安にシフトアップ。クラッチの慣らしも行うのでシフターは使いません。全ての操作を丁寧に行うよう心掛けながらも、アクセルワークはメリハリをつけて開ける時はしっかり開けます。
ヘアピンの立ち上がりでDTC(トラコン)が作動していました(メーター右下の黄色ランプが点滅)。慣らしですからマシンを起こして余裕を持ってアクセルを開け始めているのですが、路面温度が低いことが影響していたかもしれません。

 

S1000RRでサーキットを走るのはこれで2回目、非常に扱いやすいという印象は変わりません。コーナーへのアプローチ、寝かし込みや切り返しがとても軽快で、それでいてコーナーリング中は路面に吸い付くような落ち着きがあります。エンジンを上まで回さず走る現時点では、安定感のある250ccみたいな感覚です。逆回転クランクやアルミ鍛造ホイール、新設計のフレームが効いているのだろうとシロウトながらに思います。
基本的には無理のないペースで走っているのですが、時おり進入速度を上げてコーナーに入ってみると、驚いたことに車体がグイグイと曲がり出すではありませんか。旋回性能も相当高いポテンシャルがあると期待せざるを得ません。

 

 

走行後のリアタイヤ。摩耗がやや進んできて、慣らしを終える前にタイヤを使い切ってしまわないか心配です。今後はストリートも走って距離を稼ごうと思います。

f:id:sundayrider:20210116170550j:plain

 

 

ところでフロントフォークのオイルが結構ヤバい勢いで滲んできてるんですけど、大丈夫かコレ…。

f:id:sundayrider:20210116170533j:plain

S1000RR サスペンション初期設定値(DDCなし)

S1000RRのサスペンションの初期設定値(工場出荷状態)を確認します。
車両はS1000RR(K67)DDCなし。前後マルゾッキ製サスペンション。
S1000RRのマニュアルによると、ライダーの体重は85kgを想定しています(この重量にウェア・ヘルメットなど装備品の重さが含まれるかどうかは不明)。

 

初期設定値まとめ
フロント
・プリロード 最弱
・伸び側減衰(赤色)「5」
・圧側減衰(黄色)「5」
・突き出し 6mm
・ステアリングダンパー 最強から4クリック戻し
 【マニュアルの推奨値】
  公道・・・最強から8クリック戻し
  サーキット・・・最強から4クリック戻し

 

リア
・プリロード 25mm
・伸び側減衰(下) 最強から5クリック戻し
・圧側減衰(上) 最強から5クリック戻し
・車高調整・ピボット位置は後述

以下、それぞれの詳細を見ていきます。

 

 

フロントフォーク

f:id:sundayrider:20210108220258j:plain

赤色の右側トップキャップでプリロードと伸び側(リバウンド)減衰の調整。
黄色の左側で圧側(コンプレッション)減衰の調整。
伸び側と圧側の減衰を片方のフォークで独立して行う、オーリンズNIXタイプのような構成です。

 

プリロード

f:id:sundayrider:20210109215708j:plain

フロントフォーク右側、赤色のトップキャップ中央(黒色の六角ボルト)に車載ツール又は13㎜のソケットを使用して回転させます。時計回りでプリロードが掛り、反時計回りで弱まります。
車載ツールは樹脂製で精度が甘く舐めやすいので、信頼できる工具メーカーのソケットを使用した方が確実です。
またプリロード調整はフォーク右側のみで行います。フォーク左側のボルトには車載ツール(ソケット)が入りません。
初期設定値は最弱です。

 

 

伸び側減衰

f:id:sundayrider:20210108221904j:plain

赤色のトップキャップ、中央の切れ込みにマイナスドライバーを当てて調整します。切れ込みの隣に小さな「●」があり、それが指している数字(上記画像では「5」)が現在値です。数字が小さいほどソフト、大きいほどハード。
初期設定値は「5」です。

 

 

圧側減衰

f:id:sundayrider:20210108222645j:plain

フロントフォーク左側、黄色のトップキャップです。調整方法は伸び側と同様。
初期設定値は「5」です。

 

 

突き出し

f:id:sundayrider:20210208172841j:plain

ノギスを当てている黒い部分の長さで初期設定値は6mm(ケガキ線2本目)。ケガキ線1本=3mmです。

 

 

ステアリングダンパー

f:id:sundayrider:20210109220234j:plain

アジャスターはトップブリッジ左下に見えます。先端の丸い部分を回して調整します。時計回り(画像では上から下方向)でハード、反時計回りでソフトに。
初期設定値は最強まで締めこんでから4クリック戻しです(ただし最初のクリックを0とカウント)。
なお、マニュアルでは以下の数値を推奨しています。
オンロード走行は最強から8クリック戻し
レーシング走行は最強から4クリック戻し

 

 

 

リアサスペンション
プリロード

f:id:sundayrider:20210109221309j:plain

スプリングの上にあるアジャストリングを、固定ボルトを緩めてから車載ツールで回転させます。固定ボルトは画像でアジャストリング右端にある星形ネジ。T25のトルクスを使用します。
アジャストリングは画像で左方向に回すとプリロードが掛り、右方向に回すと弱まります。
調整を終えて固定ボルトを締める際、規定の締付トルクは6Nm。
プリロードの初期設定値は25mm(下記画像でノギスを当てている部分の長さ)です。

f:id:sundayrider:20210108222934j:plain

 

 

伸び側減衰

f:id:sundayrider:20210109114857j:plain

伸び側のアジャスターはリアサス下側の付け根にあります。かなり奥まったところにあり長めのマイナスドライバーでないとアクセスできません。そのうえ、すぐ近くにマフラーのメインサイレンサー(弁当箱)があるので走行直後は高温・火傷に注意が必要です。
ドライバーを回すとクリック感があり、時計回りでハード、反時計回りでソフトに。
初期設定値は最強まで締めこんでから5クリック戻しです(ただし最初のクリックを0とカウント)。

 

 

圧側減衰

f:id:sundayrider:20210109115602j:plain

リアサス上側の付け根にあります。ドライバーを回すとクリック感があり、時計回りでハード、反時計回りでソフトに。
初期設定値は最強まで締めこんでから5クリック戻しです(ただし最初のクリックを0とカウント)。

 

 

 

車高調整

f:id:sundayrider:20210109223519j:plain

レースパッケージ及びMパッケージには車高調整機構があります。下の画像のようにノギスを当てた部分の長さを測定します。

f:id:sundayrider:20210109222532j:plain

僕が測定した数値は8mmでした。
マニュアル記載の基本調整値は9.5mmです。

 

 

 

ピボット調整

f:id:sundayrider:20210109120728j:plain

レースパッケージ及びMパッケージにはピボット位置の調整機構があります。
初期設定値は画像の位置です。この部分はかなりテクニカルな調整だと思うので、僕の場合あまり触ることはないかもしれません。

 

 

 

所感
プリロード・ダンパーの調整方法に特殊なところはなく、国産車やオーリンズと同じ感覚で触ることができます。
サスペンションの初期設定値を確認するのはそれが今後の基準となるからです(それが適切な値かどうかは別の話)。セッティングを変更して迷った時、いつでも最初の状態に戻せるよう初期値を記録しておくのです。
なお、S1000RRのマニュアルにはこうしたサスの調整方法が図解でわかりやすく説明してあるほか、主要な各部の締付トルクを記載するなど大変充実した内容になっています。