転倒

5月に入って3度目のオートポリスです。

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サスセッティング
前回のセットは下表のとおり。ゴールデンウィークの走行でリアサスの車高を3mm上げていました。

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これで良く曲がるようになったと感じる一方、コーナーの進入でリアの接地感がやや希薄になったので、試しにリアの圧側減衰を少し弱めてみました(3クリック分)。

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結果、リアが動きすぎかも? 慣れてくると悪くはありませんが、変更前とどちらが良いかと言われると正直よくわかりません。

 

そのほか、前後スプロケットを交換しました。これまで前17-後48だったものを、14-46へ変更。17-48だとヘアピンを1速で回らなければなりませんでしたが、14-46では二つのヘアピンを2速、それ以外のコーナーは3速という組み立てになります。なお、以前14-47を試したところホームストレートで6速吹け切って最高速が頭打ちになりました。それと比較するとリア1丁分ロングにしただけですが、レブに当たらずストレートでの無駄がなくなりました。

 

 

 

畏れ多くも2R
本日のスポーツ走行は2Rの枠があります。この枠は表向き「2分10秒以内で走行できる人」という条件になっていますが、大抵は選手権の開催前に設定されるため実質的にはその筋の方々、つまり遅くとも2分0秒前後で走るようなライダーのみで構成される枠、と理解しています。このような枠に僕が混じるのは明らかに場違いだし速いライダーに迷惑を掛けるだけだと思うのですが、あえて1本だけ走行することにしました。周りに自分より速い人しかいないシチュエーションは、練習するにあたって夢のような環境だからです。

 

 

 

そして転倒
しかし実際に走ってみると、広大なオートポリスで他のライダーと遭遇する機会はそれほど多くなく、あわよくば速い人に引っ張ってもらってタイムを上げようという目論見も当てが外れた格好です。ほぼ単独走行で自己ベスト近辺の6秒台。最近はコンスタントに6秒まで行くものの、そこが壁になっている感じです。一旦ピットインして息を整え、もうひと頑張りしようと走行を再開した時に本日のメインイベントが訪れました。
ピットからのアウトラップで徐々にペースを上げ、次のラップでアタックすべく最終コーナーに進入した際、フロントを失ってスリップダウンしました。ここは大きく右に回り込んだ後、左に切り返してホームストレートにつながるコーナーで、直前の短いストレートで約150km/hまで加速し、クリッピングポイントにおけるボトムスピードは100km/h前後です。
自分としてはブレーキから寝かしこみのタイミングがうまくいって良い手ごたえを感じながらの進入でした。しかしバンク角が深まりながらクリッピングに向かう過程でいきなり足元をすくわれたように転倒してしまいました。

 

 

車両右側

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左側

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ハンドルは両方ぽっきり。

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スリップダウンした右側の損傷が大きいです。

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原因は?
オーバースピードだったわけでもなく、無理なブレーキングでもなく、タイヤも冷えておらず、普段通りの乗り方でむしろバランス良くコーナーにアプローチできた感触がありました。ライディングにミスがあったとは思っていません。
フロントタイヤはアブレーションが出始めていて少し嫌な気はしたのですが、直前の周回でベスト近辺も出ていたし、深く考えていませんでした。転倒後のフロントタイヤを見ると、

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酷い荒れ方をしています。原因はこれでしょうか?
アブレーションが発生した理由はわかりません。レーステックRRでコンパウンドを今までのK2(ミディアム)からK1(ソフト)に変更したら現れるようになりました。

 

実は1年前にもK1を履いてフロントが荒れていました。

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サスセッティング? 路面温度? 理由は定かではありませんがタイヤが本来の性能を発揮できずグリップを失ったと考えるのが妥当な結論ではないかと思っています。もし今回の転倒が自分の乗り方に起因しているとしたら、これまで何十回も転んでいるはずだと言いきれるほど、乗り方において普段と違うことをした、あるいはミスをした感覚がないのです。
反省点を挙げるとしたらフロントタイヤのアブレーションは決して軽視してはならない、ということでしょうか。

 

 

 

ツナギを新調してました
実は散々悩んだ挙句、革ツナギを新調して本日がおろしたてでした。ダイネーゼのエアバッグ内蔵式D-AIR RACING MISANO ESTIVAです。図らずも新調した初日に、その高度な安全性を身をもって体験することとなりました。
今回、スリップダウンした瞬間はすでにバンク角が深かったため身体の衝撃はほとんどなく、その後路面を滑走して身体がゴロゴロと転がりながらグラベルで止まりました。GPSのログから100km/h以上の速度で投げ出されています。この間ライダーは自力で止まることも受け身を取ることもほとんど不可能で、成り行きに任せるしかありません。その過程でエアバッグが「バンッ」と起動するのを感じ、僕はツナギに守られている安心感に包まれながら滑っていきました。
実際のところ怪我はほとんどなく、転倒した側の右手を軽く打撲した程度。地面を高速で転がった衝撃で、さすがに翌日は体のあちこちが痛みましたが、日常生活に支障はなく数日経過した現在は痛みも引いています。特に首回りが軽いむち打ちみたいになっており、ここはエアバッグがなかったらもっと酷いことになっていたのではと思います。

 

ライダーを守ってくれた高級革ツナギは、あっという間に使用済みに。

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エアバッグを含め補修のサービスをダイネーゼが行っていますので、もちろん再使用します。傷ひとつない新品ツナギは格好悪いという二輪業界の風潮に照らして言えば、次回からとても格好良くなったツナギで走ることができます。

 

 

 

オフィシャルさんに感謝
グラベルに横たわったマシンの回収から僕自身の体のケアまで、オートポリスのオフィシャルの皆さんが誠に迅速に、そして快く対応していただきました。ハンドルが両方折れてしまって一人ではトランポへの積み込みもできず、最後まで力を貸してくれました。転倒して落ち込んでいるライダーを励ますためか、みなさんあえて明るく朗らかに声を掛けてくれます。こうした裏方の人たちの支えがあるからこそ、僕たちは安全にスポーツ走行を楽しむことができるのだと改めて実感しました。深く感謝しています。
念のためメディカルセンターにも行ったのですが、こちらの方もレース好き・バイク好きでエアバッグ内蔵ツナギの話で盛り上がったりしてました。ありがとうございました。

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今後は
幸い人間のほうは無事だったとはいえ、675Rは重傷を負いました。ひとまずショップに預け、どのように修復していくか相談します。気持ち的にはバイクがあるなら明日にでもまたオートポリスに行きたいくらいですが、マシンの復活には相当な時間(と費用)を要することになりそうです。

 

フロントからのスリップダウン、その予兆を全く感じ取ることもなく突然グリップを失う結果には釈然としない部分もあります。この転倒を教訓に走り方を変えるか、と言われると難しいところです。正直、フロントからの転倒を恐れていてはタイムなんか出せっこないという思いがあるからです。次にサーキットを走った時にどのような心境になるのか、自分としても興味深いところです。

ツナギ探訪の旅

革ツナギを新調しようと検討を始めて2か月余り、悩みに悩んでいます。
次期ツナギの条件はエアバッグ内蔵であること。安全性を考えると外せない装備です。複数のメーカーからリリースされているなか、最終候補としてRSタイチとダイネーゼの二つに絞りました。

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RSタイチ:GP-MAX R103(T-RAPS)

 



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ダイネーゼ:D-AIR® RACING MISANO ESTIVA


どちらも高価ですが同じ価格帯。あとは試着して最終的な判断をすることにしました。

 

 

 

RSタイチ
RSタイチの直営店は九州になく、大阪(もしくは京都)まで足を運ぶ必要があります。先日、関西に出張する機会があり、仕事の合間を利用して大阪の本店まで行ってきました。

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RC213V-Sが鎮座。

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直営店だけあって店頭在庫のサイズは豊富、バイクを模したフィッティングマシンを使って実際のライディング姿勢を取りながら細かな採寸が行われます。僕の体形は身長174cm、体重70kg。標準体型よりお尻が大きく下半身ががっちりした体形のため、L-Wideというサイズを選びました。これで概ね問題ありませんが、タンクに体を伏せる姿勢を取ると背中側が引っ張られる感覚があり、肩・首回りが圧迫されます。このため背中側の座高を3cm伸ばすサイズ加工を勧められました。また両腕のサイズは余裕がありツナギがダブつくので、こちらは若干詰めた方が良いとのこと。既製サイズをベースに部分的な加工を行うことで、細部まで自分の体形にマッチしたツナギに仕上げることができます。
ちなみに、今まで使用しているHYODのツナギはサイズがL/Wで、背中側の座高を3cm伸ばす加工をしています。つまり今回のRSタイチとはほぼ同サイズ、同様の修正です。試着した感想としては、RSタイチとHYODのサイズ感はほぼ同じ、ただしHYODは少しスリム・タイトフィットな造りなのでRSタイチのほうがゆったり感があります。良く言えば違和感がなく、悪く言えば新鮮味に欠けます。
店員さんの話からRSタイチのツナギに対する姿勢をうかがい知ることができました。体にフィットさせることで安全性を高めるというのが基本にはありますが、過度なタイトフィットは推奨しない、むしろライダーの身体が動きやすいこと、長時間のライディングで動きづらさや圧迫感から体力を消耗することのないように乗り手の好みに応じて適度な緩さを許容する考えがあるようです。鈴鹿8耐のライダーを多数サポートするメーカーならではの理念だと感じました。

 

 

 

ダイネーゼ
続いてダイネーゼです。こちらは九州に直営店があります。

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僕の体形から“46”というサイズを勧められ試着。案の定、一人では着ることも脱ぐこともできません。汗だくになりながら装着すると、真っすぐに直立できず前かがみの姿勢になります。これはタイトフィットかつライディング時の前傾姿勢を前提に裁断されているためで、ここから前屈してライディングの姿勢を取ると確かにしっくりきますし、直立時に感じた圧迫感もありません。着用さえできればライディングに支障はなさそうです。
とはいえ全体的にキッチキチで余裕がありません。付属の脊椎パッドは装着したものの、チェストパッドを装着する余地はなさそうです。
店員さんはこの46サイズが適正だと言い張るのですが、試しに1サイズ上げて48サイズも試着、今度はチェストパッドも装着しました。すると、やはり一人で脱ぎ着できずタイトであることに変わりはありませんが、少しだけ余裕が生まれました。これなら許容範囲かも…と思えるレベルです。余裕と言ってもルーズな感じは一切ありません。ダイネーゼはサイズを大きくして革にダブつきがあると、走行中にエアバッグのセンサーがズレて誤作動の恐れがあるそうですが、店員さんもこれぐらいなら問題ないとのことでした。

 

 

 

比較
RSタイチとダイネーゼ、両者の装着感は大きく異なるものでした。ひたすらタイトフィットを追求するダイネーゼと、ある程度の緩さを許容するRSタイチ。長年使用してきたHYODから着替えた場合、RSタイチはほぼ違和感なくライディングへの影響は無さそうです。一方でダイネーゼのフィット感はタイトながらも、そこには文字通り包まれるような強い安心感がありました。この感覚は他のツナギでは得難いものです。しかもエアバッグのシステムは国内メーカーとは一線を画し、最高峰の安全性を備えています。

 

うーん、試着したらますます悩んでしまう…。