オートポリス スポーツ走行 2022.10.10

10月10日、体育の日。現在はスポーツの日と改称されたそうで、ともかく運動するには最適な時期です。九州地方は前週の半ばから気温が下がり始め、この日訪れたオートポリスは13℃台。一気に冬のような気候ながら、標高800mに位置し一年を通じて平地より気温が5~10℃低い当地ゆえ十分に予想できる状況ではありました。

路面温度は20℃~25℃。これならタイヤが冷え切らず、もちろん熱ダレもせず良い状態で走れそうです。経験上これくらいの気温と路面温度の時が、年間で最もタイムの出し易い条件だと感じています。さて、本日はどうでしょうか。

 

 

準備運動
年齢を重ね、体力の低下とともに柔軟性も失われていく一方です。走行当日は準備運動に時間を掛けるようにしています。

① まず10分前後の軽いランニングで体温を上げる
② 20分ほど掛けて全身ストレッチ

あわせて30分程度、体の準備に充てます。
以前は走行開始の1時間前にサーキット到着が目安でしたが、今は1時間半前に現地入りしてストレッチに時間を掛けるようにしています。走行前の準備は何かと慌ただしいもの。時間ギリギリに用意を終えてコースインするようでは集中力を欠いたまま走行を始めることになりかねません。少し余裕を持ったタイムスケジュールが肝心です。

 

 

11:00からの2B-B
昨晩の雨で濡れた路面が乾ききらず、10:30の2B-Aはパス。続く2B-Bで走行を始めます。ブリッジ下など所々で黒く湿った箇所が残っていたものの、ほぼドライ。周りの車両にペースを合わせながら体慣らしでまずは2分6秒台。
気温14℃、路面温度22℃。気温が下がってエンジンの伸びが明らかに違います。

 

 

13:00からの2B-A
気温15℃、路面温度25℃。翌週に九州選手権を控えて周りは選手権ライダーだらけ。速い人達はコースインした瞬間からペースが違います。僕とはレベチ過ぎますが少しでも離されまいと頑張って走ります。
S1000RRのホームストレートの最高速は276km/h。夏場と比べて10km/h程度上がっていて、これは結構大きな差。2分4秒~5秒でラップし、ベスト2分3秒6。これまでの自己ベストとほぼ同タイムという結果でした。

 

 

伸び伸び走る
夏場は車体が少し動き過ぎているような落ち着きのなさを感じ、サスペンションの前後ともに固める方向で調整していました。今回は気温が下がったことを考慮し以前のセッティングに戻した(柔らかくした)のですが、特にネガは感じず車体は安定していました。
走行1時間のタイヤはまさに食べ頃、気温が低いおかげで身体はバテることなく良く動くしエンジンは良く回ります。様々な条件がベストの状態で揃った稀有な一日となりました。
走っていて全くと言っていいほど不安がないので、マシン上で積極的に体を使ってライディングすることができ充実感がありました。平たく言えば「気持ちイイーー!」と快感に浸りながら走っている状態です。僕の場合、スポーツ走行で気持ちいいと感じることは少なくて、いつもはタイヤのグリップや車体の動き…どこかしらに不安を感じながら、気持ちが萎縮する部分を残しながら走っているものです。そうした不安がなく、ひたすら自分の全力を出し切ることに没頭できるのは年に数えるほど。そしてそのような状態の時は例外なく自己ベストを更新するか、それに近いタイムが出ています。

たかだか2分3秒程度のタイムで何を大袈裟な、と思う人もいるでしょう。でも大事なのは何秒で走ったかではなく、その時の自分の力を出し切れたかどうかなのです。持ちタイムが1分55秒だろうと2分3秒だろうと2分30秒だろうと、その人なりに今できることをやり切った充実感があるなら、ファンライドとしては「優勝」です。僕がバイクに乗る理由はまさにここにあります。

 

 

その感覚を味わうために
このようなライディングの充実感を得るために、日常生活で準備を続けています。具体的にはランニング・筋トレ・ストレッチ。レースで結果を出すことが目的ではないのでそれほど高い負荷は掛けていませんが、年間を通じて体のケアを怠らないようにしています。それが、もう若くない身体でリッターSSのスポーツ走行を楽しむ唯一の道だと考えるからです。

 

 

課題は山積
気持ちよく走れたとはいえ課題も沢山ありました。
まず筋力不足。APを2分5秒以内のペースで走ると、それなりに体に負荷が掛かると感じます。寝かし込みで車体を抑えきれず、狙ったラインを大回りする場面が度々ありました。現状、腹筋・背筋の筋トレ+ランニングで主に筋肉の持久力を上げるトレーニングが中心ですが、下半身に関しては車体を抑え込むために瞬発的な筋力(速筋というのでしょうか)もある程度鍛える必要がありそうです。

 

 

寝かし込み・切り返し速度の向上
車体の寝かし込み・切り返しの遅さは長年の課題です。最近は意識的な逆操舵を取り入れ始めました。ハンドルにどれくらい力を加えるのが良いのか、また寝かし込んだらハンドルから力を抜いてセルフステアを妨げないようにすることが重要で、その一連の動作はまだまだ練習が必要です。

 

 

ライディングフォームの見直し
フォームは両肘を外側に張り出す今時のスタイルにすると、ハンドルに力を加えるのも抜くのもスムーズにできることが分かりました。また上体を低く保てるし、アクセルを回しやすいのもメリットです。ただ、疲れてくると上半身が起き上がってきて肘が伸びてくるので、今以上に筋力が必要だと感じます。

 

 

実は基本の再確認
逆操舵は今までも無意識に行っており(おそらく全てのライダーが行っている)、あえて意識的な動作に組み込むことでハンドル入力(力を加える/抜く)にメリハリを付けたいというのが狙いです。
ライディングフォームに関しても肘を張り出すといえば今風ですが、僕が目指しているのは昔から基本とされる「腕で円を描くようにハンドルを握る」フォームをより強調するイメージに過ぎません。
どちらも真新しいことに取り組んでいるわけではなく、基本を再確認しているというほうが正しいかもしれません。

 

 

2コーナー
タイトな1コーナーから続く2コーナーは緩やかな右で、1コーナーの立ち上がりから全開のまま通過するのが基本ですが、路面に大きなうねりがあって車体が大きく揺さぶられます。これが怖くてなかなか全開にしきれないのが課題です。少しアウト側を通った方がうねりが少ないかも? やり過ぎると左側にコースアウトするリスクもあって難しいです。

 

 

強風
ベストコンディションの1日ながら唯一気になったのは風の強さで、特に1ヘア後の100Rと250Rで横風に煽られていました。これが無かったらベスト更新していた…かも?

 

 

フロントフォークの底付き
この件については話が少し長くなるので次回の記事に続きます。