CB1100RS

先月の記事でZ900RSについて触れましたが、それ以上に気になる一台があります。ホンダCB1100RSです。半日ほど借り切って試乗してみました。

f:id:sundayrider:20180118181333j:plain

 

 

 

車体構成

  • 丸目一灯
  • ダブルクレードルフレーム
  • 正立フォーク
  • リア二本サス
  • 空冷エンジン

CB1100RSの車体構成はオールドスタイルそのものです。Z900RSが最新の車体に古風なルックスを付与されているのに対し、この車両は構造そのものが古典的です。個人的にはこのスタイルこそバイクの理想像、というほどに大の好みです。

 

 

 

空冷4発

f:id:sundayrider:20180118183221j:plain

年々強まる環境規制で他メーカーの従来モデルが次々と生産中止に追い込まれる中、(CB1300がベースとはいえ)この車両のために開発された新作の空冷エンジンです。時代の流れに完全に逆行する試みを、二輪車のトップメーカーたるホンダがやってしまうところに大変痛快な思いがします。

 

 

  

リアビュー

f:id:sundayrider:20180118185714j:plain

従来(無印)のCB1100は前後18インチのナロータイヤですが、このCB1100RSは前後17インチ、リアのサイズは一般的な180/55。ツインショック、二本出しマフラーとの組み合わせ。

 

 

 

フロントビュー

f:id:sundayrider:20180118190502j:plain

ヘッドライトはLED。細身のウインカーもLED。ダブルホーンはいかにもホンダらしいデザインですが、メッキ加工されたパーツは近くで見るとちょっと安っぽいです。

 

 

 

 ブレーキ

f:id:sundayrider:20180118190857j:plain

フロントのブレーキキャリパーはラジアルマウント。このバイクにラジアルマウントが必要か、という問いは心の中にしまっておきましょう。
LEDウインカーやラジアルマウントキャリパーは、車両全体のフォルムを崩さずディテールに現代的なアクセントを加える格好で、個人的には好印象です。

 

 

 

メーター周り

f:id:sundayrider:20180118184318j:plain

アナログ二眼メーターと中央にギアポジションインジケーターを含む多機能メーター。この辺のデザインも綺麗にまとまっています。

 

 

 

サウンド
さて、走りのほうはどうでしょうか? ネットで調べていると、盛り上がりに欠けるつまらないエンジン、遅い、地味バイク等散々な書かれようです。

f:id:sundayrider:20180119115021j:plain

まず、エンジンを掛けると驚くほど良い音が響き渡ります。低音の効いた大排気量車らしいサウンドであるだけでなく、音量が純正とは思えぬほどの大きさです。音だけを考えたらマフラーは純正のままで十分に思えます。本音を言うともっとDQNな音量のほうが好みと言えば好みなんですが、いまどき社外品でもそんなマフラーは売っていませんので…。

 

 

 

ライディングポジション
カタログを見ると車両重量252kg、最高出力90PS/7,500rpm。この数字からさぞ鈍重なバイクだろうと想像していましたし、実際取り回しは非常に重たい。しかし走り出すと不思議と重さを感じません。その要因の一つとしてライディングポジションがあります。コンパクトなポジションは身体の収まりが抜群に良く、車体が手中に収まるような感覚で一回り小さく感じます。コンパクトながら軽い前傾姿勢、バイクの上で常にライダーが動ける(重心移動ができる)態勢となっているので、これが機敏とまではいきませんがダルさを感じずにマシンを操れる要因となっているようです。身長174cm、日本人男性の平均的体格である僕にはまさにジャストサイズといった塩梅です。

f:id:sundayrider:20180119101305p:plain

過去にヤマハのFZS1000(FZ1)やスズキのバンディット1200を所持していましたが、欧米市場を意識したこれらのモデルはライディングポジションがやや大柄でした。主に日本市場を想定しているであろうCB1100RSのポジションは、こうしたモデルと一線を画しているように思います。

 

 

 

エンジン

f:id:sundayrider:20180119114843j:plain

公道を常識的なペースで走る場合、4,000回転まででほぼ事足ります。単に緩く走るだけでなく、メリハリをつけた加速を引き出すトルクもこの回転域でカバーします。アイドリング近辺の1,000回転+αから4,000回転までの出力特性をしっかりと造り込まれている印象で、低く響く排気音を聞きながら気持ちよく走れます。
4,000回転以上から直4特有の高周波な振動が顔を出し始めます。同時に公道においては相応の刺激を享受できる程度の加速を得ることができます。サーキットに持ち込むのでもない限り、このバイクを非力と感じることはないように思います。
巷ではCB1100のエンジンに対し「無個性」「スムーズ過ぎてつまらない」などの評価も目にしますが、それはそもそも直4エンジン全般に当てはまることであって、このバイクだけにそうしたレッテルを貼るのはやや見当違いではないでしょうか。

 

 

 

ハンドリング
普段デイトナ675Rやセローの動きに慣れているためか乗り始めは少し立ちが強いように感じましたが、しばらく走っているとライダーと車体の動きのタイミングが合ってきたようでニュートラルに曲がるようになりました。前述のライディングポジションも相まって、市街地・峠を問わず重量級の車体を持てあますことなくイメージ通りに走れる印象です。しかしながら当日は気温が低く、ペースを落として慎重な走りに終始しましたので、暖かくなってからもう少し走り込んでみたいものです。
それと試乗した車両はタイヤが交換してありました(ミシュランPOWER RS)。純正装着タイヤの場合、乗り味も少し変わってくるものと思います。

f:id:sundayrider:20180119112311j:plain

 

 

 

総評
ホンダのバイク全般のイメージとして、優等生で扱いやすい代わりに面白みがないというものがあって、このCB1100RSはなおさらつまらないバイクではないかと想像していましたが、良い意味で裏切られました。扱いやすいことには間違いないけれど、つまらないとの評価は当てはまりません。
僕と同じようにCB1100RSを見た目・スタイルから惚れる人は多いはずです。しかし実際に走らせてみると中身の完成度の高さも窺い知ることができました。見た目だけ気に入ってこのバイクを所有したとしても後悔することはない、というのが今回試乗した感想です。

f:id:sundayrider:20180119114143j:plain

なんかもう、完全に欲しくなってしまいましたよ…。