インカムって必要?

最初に断っておきますと、今回の記事はバイクのインカムについてひたすら文句を言うだけの内容です。インカムを愛用している方は気分を害する恐れがありますので、どうぞスルーしてください。ごめんなさい。

 

 

さて、バイク用のインカムです。こんなの。

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いろんなメーカーが出していて用品店に行くと割と目立つ場所に特設コーナーがあったりするし、最近のヘルメットはインカム装着を考慮した構造になっている物も多いのでそれなりに需要があるみたいですが…。
僕ね、これが嫌いなんですよ。バイクに乗る時、付ける必要あるの?って思います。
インカムの機能は(詳しくは知りませんが)ざっと挙げると以下のようなものになるでしょうか。

  • スマホに接続して電話ができる、音楽が聴ける、カーナビの音声が聞ける
  • 他のインカムと接続して、一緒に走っている人と会話ができる

 

 


インカムの通話機能に物申す
まず前提として、バイクの運転というのはツーリング・サーキット問わず集中力のいる行為だということです。ツーリングで淡々と走っているように見えても周囲の道路状況・前後の車の動き・路面の状態など様々なことに気を配りながら、次に何が起こるか絶えず予測して運転しているわけです。
乗用車と比較して、同じ道・同じ状況でもバイクのほうがずっと神経を使います。例えば対向車がウインカーを出して右折しようとしている場合、こちらも乗用車なら対向車は存在を認識して止まるのに、こちらがバイクだと思いもよらぬタイミングで右折し始めることがあります。それを予測してすぐに止まれるよう備えなければなりません。
このようにバイクは乗用車と同じ感覚で運転していたら必然的に事故を起こすものなのです。常に五感を総動員して運転することが求められますし、それがまたバイクの楽しさの一つでもあります。


前置きが長くなりましたが、そういうバイクのライディング中に電話をしたり、他のライダーと会話をするといった「ながら運転」したら危なくないですかね? 乗用車なら同乗者と会話しながら運転することに問題がなくても、同じ感覚でバイクに乗るのは少し認識が甘すぎやしませんかね?

 

 


音楽を聴くことに物申す
安全面で音が大事であることは言うまでもありません。インカムで音楽を垂れ流したら周囲の音を遮断しかねず、他車のクラクションや緊急車両のサイレンを聞き漏らしてしまうかもしれません。そんなことは決してあってはならないのです。


安全面以外でもう一つ。バイクを楽しむうえで「音」の存在は欠かすことができません。エンジン音、吸気音、排気音、シフトチェンジの音…。これらマシンが発する様々な音はバイクを楽しむために重要な要素です。それをよりによって訳の分からない音楽でかき消してしまうなど愚の骨頂です。
中には音楽を聴くために高音質を謳うインカムもあるそうですね。馬鹿も休み休み言えと思います。
余談ながら、バイクって目に見えるものが全てではなくて音・匂い・振動…あらゆる感覚を使って全身で楽しむものですよね。目の前に海が開けた時にふと届く潮の匂いや、降り始めた雨でアスファルトから立ち込める匂い…。誰しも記憶の片隅に残っているのではないでしょうか。

 

 


カーナビの音声を聞くことに物申す
まあ確かに便利かもしれませんがね、ナビの画面を見れば済むことです。音声、必要ないでしょ?

 

 

 

結びに
というわけでインカムというのはバイクの安全を損なうだけでなく本来の楽しさすらスポイルしてしまう、ろくでもない駄道具だと思います。
確かに便利かもしれません。しかし安全を犠牲にしてまで手に入れる利便性に何の価値があるのでしょうか? このような物が多くのライダーに受け入れられているとしたら、まことに世も末です。嘆かわしい。
あぁ、調子に乗って書いていたら最後は年寄りのたわごとみたいな話になってしまった…。

S1000RR スクリーン比較

S1000RRのスクリーンをいくつか試したので比較インプレッションです。

 

ノーマルスクリーン
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ノーマルスクリーンは小ぶりで性能的にあまり期待できないように思えますが、見た目に反して絶妙な整流効果を発揮します。レーシングポジションでタンクに伏せるとギリギリのラインで風を受け流し(ヘルメットのすぐ上を風が抜けていく感じ)、しっかりと役目を果たします。
ノーマルの真骨頂はライダーが伏せない普通のライディングポジションの時に現れます。上体を起こして走れば胸から上はカウルの外に出て風が当たるわけですが、それをスクリーンがうまく整流して和らげてくれるのです。風は受けるが不快に感じない、そのさじ加減が秀逸。
サーキットでもない限りタンクにべったり伏せて走ることはありません。ツーリングでは基本的に上体を起こして長時間走ります。その姿勢において風を防ぐというよりも散らして疲労感を軽減してくれる感じで、おそらくBMWはこうしたシチュエーションを緻密に計算してスクリーンの形状を決めているのでしょう。サーキットを走らないのであればノーマルスクリーンをあえて変える必要はないと個人的には思います。

 

 

 

MRA
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MRAはノーマルより高さがあり、やや立った形状です。「レーシングスクリーン」という名称で、その名の通りサーキット向けでしょうか。タンクに伏せるとノーマルと比較して風の当たらない空間が少し広がる気はするものの、大差ありません。
問題は上体を起こした時で、スクリーンの上を抜けた風がヘルメットや胸にダイレクトに当たります。この点がノーマルスクリーンと大きく異なり、ツーリングの姿勢ではMRAのほうが疲労度が大きいと感じます。
また個体差かもしれませんが形状の精度がやや低いのか、カウルとの接触面でエンジンの振動によるビビリ音が発生してわずらわしいです。
総合的に見てノーマルスクリーンのほうが良いと思います。MRAは各種レースシーンで使用される有名なブランドですが、S1000RRに関しては購入する際に注意が必要です。

 

 

 

プーチ R-RACER
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プーチは2種類あります。

  • Z-RACING ノーマルに近い形状
  • R-RACER  大型でかなり高さがある

僕が装着したR-RACERは、WSBKなど近年のスーパーバイクでトレンドとなっている大型スクリーンです。これだけ高さがあると伏せた時にすっぽりと体がスクリーンの中に収まる感覚で、先日走行したオートポリスの直線でも安心感がありました。
上体を起こすとヘルメットの上部に風が当たりますが、まあ許容範囲かなという感じです。現時点ではこのスクリーンをメインで使用しています。
ところでこの大型の形状は一昔前ならツーリング向けの野暮ったいデザインという印象だったのに、今やレーシーなイメージに変わりました。デザインのトレンドって面白いです。

 

あと個人的にスクリーンはクリアの一択です。色付きは視認性が劣り安全をスポイルするし、何と言ってもクリアスクリーンがレーシーですよね!

オートポリス スポーツ走行 2021.3.14

S1000RRのナラシを終えて、いよいよオートポリスで力いっぱい走る日がやって来ました。

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タイヤ
この日に備えて新品タイヤに交換。ミシュランのパワーカップ2です。
サイド部には溝がなくまるでスリックタイヤのよう。しかし見た目に反してウォーマー不要、扱いに神経質なところがなく公道でも普通に使えるとのことです。

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タイヤ交換は675Rの時からお世話になっているレイラスポーツにお願いしました。


 

サーキットにおける空気圧はミシュランのHPを参考にしています。下表の数値は全て冷間時です。

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まずは肩慣らし
オートポリスを走るのは随分久しぶりなんですが、いざコースインすると675Rで走った時の感覚が体に染み付いていてマシンの挙動の違いに戸惑います。特に感じたのは以下の2点。

 ① S1000RRは寝かし込み、切り返しが軽い
 ② S1000RRはエンジンブレーキが効かない

①については初めて乗った時から感じていることで、様々な動作でフリクションが少なく軽い力で操作できます。これはもちろん良い点なのですが、フリクションが少ないというのは乗り手にとって手応えが少ないことでもあります。
接地感とかグリップ感というのはある種の抵抗感・摩擦感(=フリクション)が手応えとして乗り手にフィードバックされている状態だと理解しています。わかりやすい例としてコーナーリング中にギア抜けすると、急にマシンの挙動が軽くなって不安定になります。その時に乗り手は接地感が失われたと感じます。
S1000RRに接地感がないわけではないのですが今の僕は675Rのフィーリングが基準になっているので、それと比べてフリクションが少ない → 手応えがない → なんとなく不安に感じるという状態になっています。

 

②について。
S1000RRは電子制御の設定にエンジンブレーキの項目があり「RACE」モードの初期設定は最小、つまりエンブレが最も効かない状態です。すると今までエンブレだけで速度調整(減速)していた区間でマシンが空走するように進んでしまい、面食らいました。さらにエンブレが効かない=フリクションが少ないというフィーリングになるので、①の要素を助長します。

 

これら①②によって、1本目は探り探りの走行でした。もちろんリッターバイクの本領である凄まじいパワーにも全く対応できていません。

 

 

 

クイックシフター
S1000RRは先月の走行でダウン側のシフターが作動しない症状に見舞われており、ディーラーにも相談しながら原因を探っていましたが、今回の走行でほぼ特定し問題は解消しました。
原因は2点。

  1. シフトペダルが緩んでグラついていた
  2. ハードブレーキング中はスロットルが少しでも開いているとシフターが作動しない

今までシフトダウンの際にゴリッと引っかかるような感触があり、これは恐らく1が原因。またペダルのグラつきによってシフターに正しく力が伝わらず、センサーが感知しにくい状態になっていたと考えられます。
2はシチュエーションにより結果が異なる点に注意が必要です。街乗りの軽めのブレーキングなら多少アクセルを開けながらシフトダウンしてもシフターは作動します。でもサーキットのハードなブレーキングでは確実に全閉にしなければ作動しないことが判明しました。
街乗りでわざとアクセルを開けてシフトダウンしてもシフターは作動したので当初はこれが原因ではないと考えたのですが、サーキットで改めて検証すると結果は違いました。今回はブレーキング時に注意深くアクセルを戻すようにしたところ、シフターは確実に作動しています。

 

僕の場合、操作の癖でブレーキングの際にアクセルを完全に戻し切れていないことがあります。これは、

  • 加速からブレーキに移行する際、アクセルを戻す操作が雑になっている
  • ブレーキレバーを手前に引くように握るため、アクセルが開く方向に力が入っている

この2点が原因のようです。自分としてはしっかり全閉にしているつもりなのに無意識にスロットルが開いてしまっている状況で、これは僕以外にも当てはまる人がいるのではないでしょうか。
ともかく、今回の件でブレーキの掛け方も見直そうと思います。

 

 

 

初回のノルマはクリア
昼を回ると空一面に厚い雲がまとわりついてパラパラと小雨が降り始めました。気温も朝よりむしろ下がり始めて微妙なコンディション。昼イチの2本目は雨に負けて途中で走行を中断。その時の様子は下記ツイートにて。

 

青空ピットなものですからハイエースのリアゲートを屋根にして雨宿り。

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このまま帰ろうか悩んだのですが、一応15時の枠まで待ってみると雨は上がってドライで走れそうなのでコースインしました。
エンジンブレーキはやや効かせる設定に変更、有り余るパワーは一段高いギアを使うことで675Rに近い感覚で走れるようになりました。いずれ走り方はS1000RRに合わせて変えていかなければならないでしょうが、慣れるまでは自分の身の丈に合うライディングに徹することが肝心です。急がば回れ。
それでも最終的には2分9秒を記録して「とりあえず10秒切り」のノルマ達成です。

 

 

 

そして悪夢が訪れる
走行を終えてチェーンの清掃やタイヤの空気圧など簡単にメンテナンスを行い、サイドスタンドを出してリアスタンドを外したところ…出したはずのサイドスタンドがデテイナァァァイ! S1000RRは成す術もなく左側に倒れました。

 

クラッチレバーはポッキリ。

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フレームスライダー。

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ハンドルバーエンド。

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エンジン二次カバー。

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まだ新車と言ってもいい大切なS1000RRが傷モノになってしまいました…。
幸いスライダーが良い仕事をしてカウル類は無傷。パドックの中を軽く走行してみても特に異常は感じられませんでした。しかし直立の状態から何の支えもなくドスンと倒れており、フレームスライダーが衝撃のほとんどを受け止めた格好です。局所的に力が加わってフレームに影響が出ていないか、またスライダーの設置箇所はエンジンマウント部分でもあるためエンジンに影響が出ていないか。心配性な僕は寝ても覚めても気掛かりで仕方ありません。誰か僕を慰めてください。